日本共産党と自衛隊

先日、全国区で有名なジャーナリスト、菅野完さん擁する事務所の中の人のアカウントの中の人と、次のようなやり取りがありました。

https://twitter.com/officeSugano/status/1058189431029477376

https://twitter.com/Tanaka_Kei/status/1058652845447102464

https://twitter.com/officeSugano/status/1058653097377972224

そこで、国会図書館で調べてもらったことをもとに、共産党の自衛隊や憲法に対する見解をご紹介したいと思います。

1940年代後半

共産党は1946年6月29日に、「日本人民共和国憲法草案」を発表しました。そこでは「第5条 日本人民共和国は、すべての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、いかなる侵略戦争をも支持せず、またこれに参加しない」と規定しています。

また帝国議会における、大日本帝国憲法を日本国憲法に改正する帝国憲法改正案の審議の際、共産党幹部であった野坂参三衆議院議員は、「侵略された国が自国を守るための戦争は、正しい戦争といって差し支えない」、「戦争一般の放棄でなく、侵略戦争の放棄とするのが的確」、「憲法第2章は、我が国の自衛権を放棄して、民族の独立を危うくする危険がある」と述べ、共産党は改正案に反対しました。

1950年代

1952年10月の第22回中央委員会総会において採択された方針には、「米・日反動勢力は(中略)、保安隊の名のもとに、35万常備軍を、アメリカ式装備によってしたてあげるのに血道をあげている。日本人を植民地軍隊に編成しようとしているのである」といった記述があります。また、1954年12月7日に発表された選挙綱領では、「アメリカに指揮される再軍備、軍国主義の復活反対」、「憲法の改悪反対」などが含まれています。

1960~1980年代

1961年7月27日に決定された「日本共産党綱領」では、「憲法改悪に反対」、「自衛隊の増強と核武装など軍国主義の復活に反対し、自衛隊の解散を要求する」とされました。

1968年1月7日、「日米軍事同盟の打破、沖縄の祖国復帰の実現ー独立、平和、中立の日本をめざして 日本共産党の安全保障政策」が発表されました。そこでは、「憲法改悪、自衛隊の増強に反対し、軍国主義復活を阻止し、憲法違反と対米従属の軍隊である自衛隊を解散させる」とされました。一方、「日本共産党は、これまで、日本民族が、自国を外国の侵略からまもる固有の自衛権をもっていることを、否認したことは一度もない」という記述もあります。

また、同年6月10日、「日本の中立化と安全保障についての日本共産党の構想」が発表されました。そこでは、自衛隊を「憲法違反の軍隊である」とし、「自衛隊は解散し、憲法の平和条項を完全に実現すべきである」とされました。一方、「将来の自衛措置の問題」として、「日本が自国の独立と主権をまもるために、軍事的な意味でも、一定の自衛措置をとることを余儀なくされるような状況も生まれうることを考慮する必要がある」という記述もあります。

1973年11月21日に採択された「民主連合政府綱領についての日本共産党の提案」では、「民主連合政府は、憲法第9条をあくまで厳守することを基本とする」、「国民世論が成熟し、統一戦線を構成する政党間の一致がえられた場合、憲法の規定に基づく自衛隊解散を実現できるようにすべきである」とされました。また、同提案についての党大会における報告では、「急迫不正の侵略にたいして、国民の自発的抵抗はもちろん、政府が国民を結集し、あるいは警察力を動員するなどして、この侵略をうちやぶることも、自衛権の発動として当然」とされました。

1980年5月24日に発表された「80年代をきりひらく民主連合政府の当面の中心政策」では、「国民世論の成熟と統一戦線での合意の前進とともに、自衛隊の解散にすすむ」とした一方、「民主連合政府は、独立国として自衛措置のあり方について国民的な検討と討論を開始する」とされています。

1990~2000年代

2000年11月24日に採択された党大会の決議では、「憲法9条の完全実施への接近の過程では、自衛隊が憲法違反の存在であるという認識には変わりがないが、これが一定の期間存在することはさけられないという立場にたつ」、「過渡的な時期に、急迫不正の主権侵害、大規模災害など、必要にせまられた場合には、存在している自衛隊を国民の安全のために活用する」とされました。

2004年1月17日に採択された「日本共産党綱領」では、「自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。(中略)国民の合意での憲法第9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」とされました。

2010年代

2015年9月の安保法制の成立後、共産党は「戦争法廃止の国民連合政府」を提案しました。同年10月、志位和夫委員長は記者会見で、安保法制を廃止し、改正前の自衛隊法に戻した上で、「日本に対する急迫・不正の主権侵害など、必要に迫られた場合には、この法律に基づいて自衛隊を活用することは当然」と述べました。2017年に採択された党大会の決議では、「憲法と自衛隊の矛盾の解決は、一挙にはできない」とされ、「国民の合意で一歩一歩、段階的にすすめる」とされた一方、他の野党や市民との共闘に、日米安保条約や自衛隊についての独自の立場を持ち込まないとしました。


Tanaka_Kei
Tanaka_Kei

以上、日米安保体制が確立されて以降の共産党の主張の根底には「自衛隊は違憲である」という一貫して明確な主張が見て取れます。