厚生労働省による氏名公表、やるならば個人を完全に特定できる形で

厚生労働省が、入国後の待期期間に健康確認などに応じず、誓約書に違反したとして、ペナルティとして3名の氏名を公表しました。氏名の公表については、検疫法に基づいた措置で事前に取り決められていたことですので、当然の措置と思います。

しかし、一つきがかりなのは、公表が完全に個人を特定できる形ではなかったこと。ローマ字表記の氏名、10年区切りの年代、住所も都道府県のみ。これでは完全に個人を特定するにいたりません。

人権に配慮した措置なのかもしれませんが、同姓同名の同世代が同都道府県に居住していた場合、不当な非難を浴びることになりかねません。実際、私が過去に経験した陳情で、「娘の結婚式をハワイで挙げようというときに、父親だけビザが下りない、理由を知りたい」というものがありました。ビザの発給に関してはアメリカ当局の裁量ですので日本側でその不許可の理由まで確認することができないのですが、一つ原因として心当たりがあるのは、「同姓同名の犯罪者がいる、ネット上で検索するとその人の名前が出てくる」というものでした。

実際にその件が、それが理由でビザがおりなかったかどうか、確たる証拠はありませんが、それに限らず、将来、全く関係ない同姓同名の方が、この公表された個人と誤解をされた場合、様々な不都合が起こりかねません。

氏名を公表するなら、完全に個人が特定される形にすべきだ、と考えます。